たしかな愛

半分くらいはフィクションです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

ジャングルで眠りたい

時々、ジャングルのことを考える。 鬱蒼と生茂る緑の中では、誰もわたしに気がつかないだろう。わたしは何時も言葉を間違えるけれど、ジャングルでは全てが意味を為さないので、臆することなく泣いたり喚いたり叫んだり笑ったり歌ったりすることができる。も…

病熱

毎朝8時12分 2両目に必ず君はいた 単語帳をなぞる指先に焦がれ続けて 下手くそな相合傘の申し出もしたっけ USBに詰め込んだラブソングは今も聴いてくれていますか 本当は僕をmp3にしてしまいたかった 君の鼓膜を震わせる全てが疎ましかった 伸ばした前髪も購…

Blue

「分からないんだよね。本とか音楽とか、誰かを好きになったりだとか、そういうことが。どうやったら人を好きになったり出来るんだろうね」そう言って彼はふわりとコーヒーを掻き混ぜた。まっしろなミルクがカップの底から浮かびあがり、やわらかな模様を描…

蝶は蛹の夢をみる

わたしは蛹、もうすぐうつくしい蝶として生まれます蛹の中はどろどろで、熱くて、脆くて、めちゃくちゃで しかし貴方はそれを愛おしいと言いましたわたしはうまく動けぬまま ひたすら貴方を見つめていました 濡れた瞳のゆらめきをひたすら見つめていたのです…

井の中の蛙

ひとつも小説を書き上げたことがないのに、小説家になりたいと思っていた。 使い古しの言葉しか知らないのに、詩人になりたいと思っていた。 絵筆を握ったこともないのに、画家になりたいと思っていた。 たぶん、わたしは愛されたかった。インターネットはそ…

202号室より愛を込めて

忙しなく回り続けるこの命を 貴方はうつくしいと言ったけれど 傾いた地面でバランスをとり続けるには 2本の足ではとても足りない 加速する微熱まじりの季節 ねえ、青く光って見えたのは 貴方の船底だったんだよ さよならする時にはきっと すべてを愛してみせ…

翳りゆく部屋

朝5時から2度寝3度寝を繰り返し、もう何度寝かわからなくなったころには日が暮れていた。 重たい睫毛をどうにか持ち上げて、半分部屋着のまま、コンビニで厚切りのチョコレートケーキ(たぶん4cmくらいある)を買う。 YouTubeでラーメンズを眺めながら生暖かい…