たしかな愛

半分くらいはフィクションです。

2017-01-01から1年間の記事一覧

plenty

中学生だった。いつもplentyを聴いていた。 「蒼き日々」を聴きながらコンビニ袋片手に歩いた国道28号線。「風の吹く町」を口ずさみながら部屋の窓から眺めた工事現場。(あの家からは壊れた信号機や鉄パイプなんかが転がっているのがよく見えた)フローリング…

花に嵐

昼下がり寝ぼけ眼の遅桜 スカートにはらむ春風君を待つ 秘密だよつつじの蜜を吸ったこと 腕伸ばす列車の窓の夏の月 白シャツを踊らすコインランドリー 甘やかに香りくちなし気づけ馬鹿 達磨さん転べば迫り来る雷雨 驟雨なり涙閉じ込めたる絵本 五月雨に洗わ…

唇に取り残されしクリームを故意とみなして舐めとる僕は 甘すぎる果物なんていらないわ君の副流煙で死にたい マヨネーズまみれの指で舞踏曲プロポーズから一夜が明けて 目をあけて蛙に還るきっともう水の中でも苦しくないよ 太陽をうっかり恋と見間違いとか…

一行小説

『衝動』 夏を殺し損ねたまま俺は右手のナイフを持て余している。 『スクランブル・エッグ』 恐竜の背に跨って、引っ掻き回す。めちゃくちゃなくらいで丁度いい。 『幸福論』 「まったく馬鹿げてるわ」ラインマーカー塗れの哲学書に火をつけて彼女は言った。…

イノチミジカシコイセヨオトメ

花を見ていたら通りすがりのご婦人に話しかけられた。「綺麗ね」「綺麗に咲いてますよね」「そうじゃなくて、あなたのことよ」そう言って彼女は悪戯っぽく笑った。これが世に言うお世辞というやつかしら、と思いながらも頰が緩んでしまう。「わたしもね、今…

明けました

君の手にかかればしあわせを演じるのだってそう難しくはないかもしれないけど、強がりじゃなく笑える瞬間をもっと増やしていければいいな。 大好きな人たちが笑顔で過ごせる一年でありますように。 (ハッピーニューイヤー!)