たしかな愛

半分くらいはフィクションです。

日記

ラブソングあげる

2021.01.30コーヒー飲みに行きたいなんてただの口実だった。 本当は君の住む街を見てみたかっただけで、でもきっとそんな下心、君にはバレバレだっただろう。腹心の友との逢瀬はいつだって最高だ。 昼過ぎ、君の家の最寄駅で待ち合わせて、黄色いコートを見…

迷わずまっすぐ帰ってきてね

Google マップに頼らず歩ける人が好きだ。 「こっちだよ」と手をひかれた日には、軽率に「結婚しよう…?」などと思ってしまう。 おそらくは私が救いようのない方向音痴であるが故の生存本能みたいなものだと思う。今日だって、珍しく早起きして家から歩いて2…

井の中の蛙

ひとつも小説を書き上げたことがないのに、小説家になりたいと思っていた。 使い古しの言葉しか知らないのに、詩人になりたいと思っていた。 絵筆を握ったこともないのに、画家になりたいと思っていた。 たぶん、わたしは愛されたかった。インターネットはそ…

翳りゆく部屋

朝5時から2度寝3度寝を繰り返し、もう何度寝かわからなくなったころには日が暮れていた。 重たい睫毛をどうにか持ち上げて、半分部屋着のまま、コンビニで厚切りのチョコレートケーキ(たぶん4cmくらいある)を買う。 YouTubeでラーメンズを眺めながら生暖かい…

plenty

中学生だった。いつもplentyを聴いていた。 「蒼き日々」を聴きながらコンビニ袋片手に歩いた国道28号線。「風の吹く町」を口ずさみながら部屋の窓から眺めた工事現場。(あの家からは壊れた信号機や鉄パイプなんかが転がっているのがよく見えた)フローリング…

イノチミジカシコイセヨオトメ

花を見ていたら通りすがりのご婦人に話しかけられた。「綺麗ね」「綺麗に咲いてますよね」「そうじゃなくて、あなたのことよ」そう言って彼女は悪戯っぽく笑った。これが世に言うお世辞というやつかしら、と思いながらも頰が緩んでしまう。「わたしもね、今…

20160301

白いチョークが擦れる音をぼんやりしながら聴いている図書室で借りた本は気付けばいつも期限切れで授業中も読み耽る文庫本体操服で飛び込んだ海はやっぱりちょっと塩っぱくて(フライドポテトには丁度いいかも)活動内容・トランプ ・テニス・鬼ごっこファミレ…