半分くらいはフィクションです。

Curtain Call

「綺麗なものとか、やさしいものに触れると泣きたくなるよね、終わりのこととか考えちゃって」

まばゆいスポットライトを浴びながら、彼はそう言ってくしゃりと笑った。

 

「手紙書くから」なんて言っていた友人から返事が来ることはついになかった。

誕生日に貰った花束は1週間とたたず枯れてしまった。

大好きだったあのバンドは解散ライブもしないまま静かに終わりを告げた。

音楽室から白い帽子が焦げるほど見つめた野球少年も、もうあのグラウンドにはいない。打ち上げられたボールが緩やかな弧を描き、掲げられたグローブの中にぽすりとおさまる。瞬間、世界が静止するような錯覚を覚えたものだった。かつての少年は今もまだどこかであの美しい弧を追い続けているのだろうか。

 

彼は言葉を継いでゆく。

「さよならも愛せるようになれならええんやけどな」

「それでも進んでいかなあかんし」

「頑張れって背中を押せるような男やないけど、倒れそうな時そっと受け止めてあげられるようなバンドでありたいなって、そんな時、この曲が傍にあったらいいなって、そう思って書いた曲です」

 

Curtain Callのイントロが鳴り響く。

 

"ここに立って 終わりまで

「君があって、僕だ」って

歌ってるよ ずっと"

 

目を閉じると、瞼を透けて光が見えた。

 

 

空っぽの郵便箱を覗き込むのにも飽きた頃、近所のスーパーの特売広告が押し込まれているのを見つける。

切り取ったハーゲンダッツ20円引き券を握りしめ、靴紐を結び直す。

ストーリーは続くのだ。

 

(SHE'Sワンマンライブツアー"Now & Then"によせて)